さて弊アカウントのフォロワーさんが気になるツイートをされていた。
吉岡さんと付き合うことを暁斗が二人に報告したところ。吉岡さんルートに限らず、他の女の子と暁斗が付き合うとき、沙夜はどんな気持ちなんだろうっていつも思う。ひかりなら沙夜も諦めるというか受け入れるだろうけど pic.twitter.com/8YNevS2mWp
— うっち/uis4uchi (@uis4uchi) 2019年1月26日
僕は日本で(多分)唯一の天ノ川沙夜ちゃん主人公SSを書いた身である以上、この問に答えるのは本質的に少女の気持ちを理解する上で重要であろうと思う。
色々とネタバレ注意
僕が出した結論は以下の通りである。
「失恋をしたことへの痛み自体は勿論あるであろうが、暁斗の大切なものを奪った自分の恋が実ることはありえないと理解しており、諦観と納得との念に概ね支配される」
以下その理由を述べていく。
物語の前提として天ノ川沙夜ちゃんは4年間封印されていた手紙を読むまでは、「暁斗にフラれた」という風に考えてたことが挙げられる。
暁斗にフラれたと考えていたからこそ、中○生時代の二人はむしろ他人行儀に過ごしていたわけで、祖父の死によって暁斗が追い詰められていた時に、沙夜が一歩勇気を持って踏み出したことが通い妻ちゃんの始まりであったわけだ。
さて基本的に沙夜はいずれのルートにおいても自らがフラレていなかったことを認識できる。みかづき天文クラブ組のルートにおいては暁斗が昔の沙夜の想いを認識することで例の秘密の天文台でのキスイベントが発生することになる。
これらのルートにおいては沙夜の心情は濃密に描写されているわけで、今更語りうることはほとんどなかろう。
問題は上記でない手紙の返し方=暁斗に手紙の中身を知られることがなかったパターンである。ここで彼女の自動思考を解釈するために、彼女の思想信条を考察していくことにする。
中○生のときの沙夜は、概ね4つの感情を抱いていたと考えられる(順不同)。
1:暁斗にフラれたことで、暁斗と親しくするのが後ろめたい感じ
2:暁斗とひかりの仲違いの直接原因を作った張本人としての二人への申し訳のなさ
3:暁斗のライフワークであった天文を彼から奪ってしまったことへの罪悪感
4:恋愛というものを分かっていなかった友人に結果的に友人の恋を諦めさせるような行動(ラブレターを渡させる)をしたことへの申し訳のなさ
さてこれを見ると如何に彼女が罪業感に苛まれているかがありありと浮かぶ。
では上述の4つのうち、ラブレターを読まれることなく返却された場合で動きうるものは1の「フラれた女の子が今更仲良くすること」への後ろめたい感じのみであろうと推定される。よってこのイベントではのこり3つの自動思考は残存する。
続いて他ルート(特にFD吉岡ルートを仮定する)と、続いて中○生の沙夜から変化した内容は、「ひかりが帰ってきてまたいなくなった」ことである。
ここで「ひかりの帰還」で彼女の自罰感のいずれが解消されたかを考える。
2:暁斗とひかりの仲違いの直接原因を作った張本人としての二人への申し訳のなさ
→ひかりが帰ってきただけでは解決しておらず、本編沙夜ルートでは家出発見エピソードで、本編ひかりルートでは自宅への大殿籠りで、相互にぶつかった上で多少自らを許せている状況。ゆえにひかりの帰還のみではこちらの自罰感に影響は与えにくいであろう。
3:暁斗のライフワークであった天文を彼から奪ってしまったことへの罪悪感
ひかりが戻ってくることも相まって、暁斗はむつらぼしの会を離脱することを辞めた。彼はみかづき天文クラブの二人の支えがあって初めて、星空の暴力的なまでのスケールの広大さを乗り越えたのだった。すなわち逆の言い方をすれば、彼が星空の広大さを乗り越えられていないのは暁斗とひかりとの袂を分かってしまった沙夜のせいである、と彼女は認識していたと推定される。ひかりの帰還によって再度星を堂々と観望し始めた暁斗がいる以上、この要素に関しては彼女の自責の念はある程度和らいだものと推定できる。
4:恋愛というものを分かっていなかった友人に結果的に友人の恋を諦めさせるような行動(ラブレターを渡させる)をしたことへの申し訳のなさ
FD沙夜ルートにおいてガイソン彗星に関連して沙夜がひかりを差し置いて抜け駆けして暁斗に想いを伝えようと画策していたことが説明される。沙夜にとってはひかりも恋愛のライバルであったわけだ。沙夜はその結果焦り、自らの想いをひかりを経由して伝えようとした。彼女はその行為によってひかりが自らの恋慕を封印したと確信している。
ゆえに沙夜はひかりが戻ってくるまで「抜け駆け」をしないことに決めた。これは本編ころなルートに記載がある。
以上よりこの要素に関してひかりの帰還は大きな影響を与えたと考えられる。ひかりを差し置いて自らが恋愛を行わないと決意していた以上、ひかりが恋愛をしない限り沙夜も恋愛を表に出さないであろうことは推定できる。ひかりの帰還によって自らの恋愛感情への封が一つ取れたことは間違いないであろう。
以上をまとめると「手紙が返ってきたからフラれた女の子が暁斗と未練がましく仲良くするのはまあ大きな問題ではない」が、「ひかりが帰ってきたからといって二人から大切なものを奪った事実は消えずない」という前提思想が導かれる。
さて吉岡ルートにおいてはプロジェクト・スターライトが開催されたあとの内容であった。この状態で暁斗が誰とも付き合っていないということは、ひかりが再帰還後恋愛感情を表に出さなかったことが必須条件である。(個人的にはその条件を満足してもころなに暁斗が捕まってしまうと思われるので、そもそも成立しうる世界観なのか、とは思うが)
この条件において、ひかりが恋愛感情を表に出さない以上、上記前提条件4が駆動して沙夜も自らの恋愛感情を表にはしないだろう。さらに前提条件2、3、4によって沙夜を縛っている自責の念はそのまま残存していることになろう。
本編織姫ルートにおいて「でもあのあと沙夜は泣いたのだろう」と記載がある通り、彼女だって失恋したら泣くのは間違いない(なおこのシーンでは「この瞬間に沙夜が失恋したということを暁斗はどのように知ったのか」という重大な問題が発生するが今回はそこには触れないことにする。作中でも上位の矛盾と思われる)。
一方で自動思考の前提条件から自罰的な解釈が出てくるであろうことも想像出来る。概ね「あっくんの大事なものを奪った以上、わたしの恋心は報われなくて当然だ」といったところであろうか。
自責の念の強さによっては、下記スクショの内容が残るかも危ういだろう。
よって、上記Twitterでの問に対しては、わたしは以下の回答をする。
「失恋をしたことへの痛み自体は勿論あるであろうが、暁斗の大切なものを奪った自分の恋が実ることはありえないと理解しており、諦観と納得との念に概ね支配される」
以上
校正していないため駄文ご容赦ください